2歩目。農業を始める前に考えること3選
~新規就農を目指すなら必ず押さえておきたい3つの視点~
農業を始める前に考えるべきことは本当にたくさんあります。ですが、その中でも特に重要な3つを今回は取り上げたいと思います。これを押さえておくだけで、就農への道がぐっと現実的になります。
① 農業を始める理由を明確にする
まず一番最初に考えるべきは「なぜ農業を始めたいのか」です。これは就農希望者がどこに相談に行っても、必ず聞かれる質問です。土地を借りる、農業機械を買う、資金を調達する──すべての場面で「理由」が必要になります。
例えば「好きだから」では説得力に欠けます。逆の立場で考えてみると、「好きだからやるんです」と言われても「どうぞご自由に」としか思えませんよね。そうではなく、「こういう課題を解決したい」「地域にこう貢献したい」「将来こういう形を実現したい」という具体的な目的やビジョンがあると、応援してもらいやすくなります。
また、相手にとってのメリットを意識することも大切です。立場が違えば求めているものも違います。
- JAの場合: 無農薬・無肥料でやりたいと伝えても歓迎されにくいです。というのも、JAは「食料を安定的に確保する」ことを使命としており、歴史的にも「日本人を餓死させない」ための仕組みを守ってきました。したがって、彼らの方針に沿わない取り組みはメリットが薄いと判断されがちです。
- 行政の場合: 市役所や農業委員会は「遊休農地の解消」に関心があります。小さな面積よりも、大きな面積をしっかり管理してくれる人を探しています。そのため「地域の農地を守りたい」「将来的には法人化を考えている」といったビジョンを伝えると、協力を得やすくなります。
もちろん、全てを相手に合わせる必要はありません。大事なのは自分の思いに将来の展望を少し加えて伝えること。例えば「地域に貢献したい」「ゆくゆくは法人化を目指したい」といった一言を添えるだけで、相手の印象は大きく変わります。
② 計画を立てる(営農計画書)
情熱だけでは前に進めません。現実的に「どうやって収益を上げるのか」を示す必要があります。そのために役立つのが営農計画書です。これは5年間の栽培・販売計画をまとめるフォーマットで、JAや役所でも評価される重要な資料です。
計画を作ることで、必要経費や売上の目安が見えるだけでなく、1日の行動まで落とし込むことができます。結果的に、自分自身の覚悟を整理することにもつながります。
③ 作型・作物の選び方
「何をいつ作るか?」は農業の核心です。作物は季節によって収穫時期が異なり、草取りや土作りなどの作業とも重なります。作業が集中しすぎると管理が回らなくなり、結果的に収量が落ちるリスクがあります。
特に夏は草との戦い。作物の収穫と草取りの両立が難しくなります。無理のない作付け計画を立て、優先順位をつけてパズルのように組み合わせることが大切です。
まとめると、農業を始める前には「理由」「計画」「作型作物」の3つを考えておくことが不可欠です。これらは机上でも準備できることなので、まずは営農計画を描きながら妄想を楽しむところから始めてみましょう。