1歩目。農業始めるのにいくら必要?

2025.08.30

僕は100万円で始めました。

~群馬県館林市でゼロから農業ライフを築いたリアル~


🎙️ 群馬県館林市で2021年3月に新規就農した私が、どんな農家ライフを送っているのか、その実体験を赤裸々に語っているラジオ番組(ぱくぱく農園Podcast)を要約したものです。

――その第1回のテーマは、「農業を始めるには、いくら必要か?」というお金の話です。

新しく農業を始めたいと思っている方にとって、「どれくらい資金が必要なのか?」は最も気になる部分。
ネットではよく「最低でも300〜500万円は必要」「1年間の生活費は確保しておくべき」と言われていますが、私は100万円で農業を始めました

無謀とも言えるこの挑戦、結果どうなったのか――


👨‍🌾 農学部卒、社会人経験を経て農業へ

大学では農学部に在籍し、卒業後は8年間、菓子製造業に従事。
そこから転職して農業法人に入り、3年間、技術や現場の感覚を身につけたのち、2021年に独立。

市に5年分の経営計画を提出し、審査を経て「認定新規就農者」の資格を取得。

📌 認定新規就農者制度
これからの農業を支える新規就農者を増やし、安定的な新規就農者を地域農業の担い手として育成することを目的にしています。
新たに農業を始める方が作成する「青年等就農計画(事業計画書)」を市区町村が認定し、認定を受けた方に対して支援を行う制度。

家庭は、妻と1歳の娘。家族の生活も背負いながらの農業スタートとなりました。


🌱 栽培作物は「にがうり」と「ちぢみほうれん草」

私の作型は、

  • 夏場(7月〜9月):にがうり(ゴーヤ)
  • 冬(12月〜2月):ちぢみほうれん草

ちぢみほうれん草は、葉がくしゅくしゅと縮れていて、平べったく広がる特徴のある冬野菜です。
JAを通じて市場に出荷したり、直売所でも販売しています。


💰 100万円の内訳と、残高2400円の現実

100万円の元手で就農し、

  • 90万円 → 資材・設備への初期投資
  • 10万円 → 生活費

就農からにがうりの収穫(7月)までの4ヶ月間で、苗や肥料、支柱、燃料代などに出費がかさみ、あっという間に残金は減少。

👉 11月末には口座残高が「2400円」になってしまったのです。


🌧️ 想定外の冷夏、予定収入に届かず

にがうりの売上は200万円を見込んでいましたが、2021年の夏は記録的な冷夏。
お盆の時期に1週間も雨が続き、気温は20度。苗が弱り収穫量は激減。

結果、売上は120万円にとどまり、予定より80万円もショート。
この不足を補う手段がないまま、冬のちぢみほうれん草の収穫(12月)まで突っ走ることに。

この2ヶ月間(10月・11月)は収入ゼロに近い状態で、精神的にもかなり堪えました。


⚠️ 助成金と融資は「後から」来る

「認定新規就農者なら、補助金や融資がすぐ使えるのでは?」と思われがちですが、実際には…

  • 助成金(次世代人材投資資金):翌年2月に振込
  • 融資:翌年1月に入金

つまり収穫の落ち込んだ秋には何の支援も受けられませんでした。

さらに、JAの資材購入での「買掛払い」(ツケ払い)も、1年目農家にはNG。すべて現金払い。


💡 新規就農を考えている人へのアドバイス

こうした経験を通じて、本当に伝えたいのは次のことです。

  • 1年間の生活費は必ず確保する(専用口座で管理するのがおすすめ)
  • 農業で生活費をすぐに賄おうとしない
  • 副業で収入の柱を複数持つ(メルカリ転売やブログなど)
  • 支出を下げる工夫をする(共済保険・格安SIMで節約)

✨ まとめ:100万円でも農業は始められる、けれど…

結論:100万円でも農業は始められるが、それは極貧と紙一重のスタートライン。

補助金も融資もすぐには使えず、収穫が不調なら一気に生活は苦しくなる。
しかし、自分で作った野菜が出荷され、誰かの食卓に届く経験は何ものにも代えがたい。

👉 これから農業を始めたい方は、「お金」の現実としっかり向き合い、準備を整えて挑戦してください。


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