労災について知っておきたいこと|農業現場で実際に起きたケースから解説
最近、私の農園でパートさんが収穫作業中に脚立から足を滑らせて負傷するという労災が起こりました。今回はその経験を踏まえ、労災保険の仕組み・保険料の誤解・実際の手続き方法についてお伝えします。
労災保険とは?
労災(労働者災害補償保険)とは、労働者が仕事中や通勤中にケガをした場合、治療費や休業補償を受けられる保険制度です。
パート・アルバイトであっても、従業員を1人でも雇用していれば加入が義務です。
※家族専従者のみの場合は加入義務なし。ただし「特別加入制度」で加入することも可能。
「労災を使うと保険料が上がる」は一部だけ
よく耳にするのが、
「労災を使うと翌年の保険料が上がるから使わないでほしい」
しかし実際には、19人以下の事業所では保険料は上がりません。つまり多くの農家・小規模事業では 労災は使った方が確実に得です。
保険料が上がる可能性があるケース
- 従業員 20〜99 名 の事業所(一定条件で上がる可能性あり)
- 従業員 100 名以上 の事業所(原則上がる)
少人数農家では対象外なのでご安心ください。
農業の労災保険料率は「1.3%」
労災保険料は「賃金総額 × 料率」で計算されます。農業の保険料率は 千分の13(1.3%) です。
参考:他業種の労災保険料率(例)
- 石炭鉱業:千分の88(8.8%)
- 船舶製造:千分の26(2.6%)
- 卸売・小売・飲食・宿泊:千分の3(0.3%)
農業は重機・高所作業があるため高いイメージがありますが、実は 中程度 です。
実際に労災が起きたらどうする?
今回のケースでは、パートさんが脚立から降りる際に転落し、脇腹を負傷しました。70代ということもあり痛みが長引き、病院を受診。労災で処理し、結果として 自己負担ゼロで治療が受けられました。
労災発生から給付までの流れ
- 状況の聞き取り
・いつ・どこで・どんな作業中に・どう怪我したか。後で書類に書くので、ここが最重要。 - 病院を選ぶ
病院には次の2種類があります。
・労災指定病院(書類が簡単)
・指定外病院(提出書類が少し多い)
指定病院の方が手続きがラクです。 - 労災申請書を提出
「労災保険給付請求書」を記入し、労働基準監督署へ提出します。小規模事業の場合、書類内容の確認で基本ほぼ通ります。
農業は事故が起きやすい
農業と建設業は、労災発生率が特に高い業種です。
- 重機の使用
- 高所作業
- 不安定な足場
- 天候の影響
「完璧な安全対策」は不可能ですが、心の余裕・時間の余裕をつくることが事故防止に大きくつながると感じました。
事業主・家族は「特別加入」でカバー可能
家族経営であっても、事業主本人・家族専従者も労災へ特別加入できます。危険作業が多い場合は加入を検討してもよいでしょう。
まとめ:農業の労災は「迷わず使う」が正解
- 19人以下の農家は保険料は上がらない
- 治療費は自己負担ゼロ
- 書類も簡単
- 農業は事故が起きやすい
- 特別加入も検討価値あり
労災は使った方が確実に現場のためになる制度です。日々の作業は無理せず、安全第一で取り組んでいきましょう。


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