自然の中で「生きる力」を育てる
NPO法人自然教育研究学園の学童保育施設を見学(2022年5月23日PODCAST要約記事)
NPO法人自然教育研究学園が運営する学童保育施設を訪問し、施設内を見学しながら、その設備や取り組みについて話を伺った。
施設があるのは森の中。茅葺き屋根の古民家風の建物を中心に、畑やヤギなどがいる環境は、どこか「田舎のおばあちゃんの家」を思わせる。
しかし、詳しく見ていくと、単に昔ながらの生活を再現した施設ではないことが分かる。
電力会社に頼らないオフグリッドの学童
第一学童の建物は平成23年に新築された。
特徴的なのが電力システムだ。電力会社の電力網を使用せず、ソーラーパネルで発電した電気を12Vの直流配線で利用するオフグリッドシステムを採用している。
家電製品を使うための1500Wのインバーターも設置されているが、代表者の基本的な考え方は「電気は明るさのためだけにあれば良い」というもの。暖房についても電気に頼らず、床に設置された囲炉裏を使用している。
茅葺き屋根にも大変な苦労があった。
新築当初の屋根は半年ほどで剥がれてしまい、その後、2年10カ月をかけて茅を探し集め、葺き直したという。
昔ながらの建築と現代の設備を組み合わせながら、独自の学童環境をつくり上げてきた。
「自分でしたことは、自分で処理する」
施設の考え方を象徴する設備の一つが、手動式のバイオトイレだ。
使用後にハンドルを回して、おがくずと排泄物を混ぜる。微生物によって排泄物やトイレットペーパーが分解され、約1年後には肥料として畑に撒くことができるという。
あえて電動ではなく手動式を採用している理由には、
「自分でしたことは自分で処理する」
という教育方針がある。
便利な設備を導入することだけを目的とするのではなく、自分の行動に自分で関わる経験そのものを教育につなげている。
梁も床下も、子どもたちの遊び場
施設内には、子どもたちが身体を使って遊べる仕掛けも数多く設けられている。
第一学童では、高さ3メートル以上ある梁からロープが吊るされ、ハンモックも設置されている。ハンモックに隠れて漫画を読む子どももいるという。
第二学童にはボルダリング用のホールドが設置され、室内で一輪車の練習もできる。
さらにユニークなのが床下だ。
床下空間そのものが子どもたちの遊び場になっており、約50メートルのロープライトに照らされた迷路のような空間がつくられている。安全対策として、子どもが中にいる間は入口のハッチを開けておくというルールも設けられている。
ドラム缶風呂から自作プールまで
遊び場は建物の中だけではない。
屋外にはバーベキュー台やドラム缶風呂があり、さらに約8メートル×5メートルの自作プールも設置されている。
プールには井戸からエンジンポンプを使って3~4時間かけて水を入れる。勢いよく入れると土を巻き上げてしまうため、ゆっくり注水するのがポイントだという。
既製品を並べるのではなく、必要なものを工夫しながら自分たちでつくっていく姿勢が、施設のさまざまな場所から感じられる。
「草は友達」――自然農法を実践する畑
そして、敷地内には畑もある。
ここで実践されているのが、
「草は友達」
という考え方に基づいた自然農法だ。
除草をせず、外部から肥料を持ち込むこともない。そこで収穫された作物は販売せず、子どもたちと一緒に自家消費している。
敷地内にある桑の木に登り、子どもたちが実を食べることも楽しみの一つだという。
さらに動物も飼育されており、年長のヤギ「メロン君」も暮らしている。
自然と暮らしそのものが学びになる場所
太陽光で電気をつくる。
囲炉裏で暖を取る。
自分が使ったトイレを自分で処理する。
梁や床下で遊ぶ。
畑で作物を育て、収穫したものを食べる。
動物と触れ合う。
今回の施設見学を通して見えてきたのは、特別な「自然体験プログラム」を用意するというよりも、日々の暮らしそのものの中に、子どもたちが自然や生活について経験できる環境が組み込まれている学童保育施設の姿だった。
施設全体の定員は80人で、資料作成時点では46人が在籍し、二つの学童に23人ずつ分かれて過ごしている。
今回の見学は施設案内を中心とした前編。
後編では、代表者がなぜこの学童保育を立ち上げることになったのかについて、さらに話を掘り下げていく予定だ。


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