固定種・在来種・F1のおさらいと植物の凄さについて(22年5月収録PODCAST要約記事)

2025.10.27

固定種・在来種・F1のおさらいと植物の凄さについて

この記事は2022年5月13日にポッドキャストで話した内容を要約したものです。

固定種・在来種・F1って何?種の基本をわかりやすく解説します

今日は「固定種」や「在来種」、そして「F1(エフワン)」と呼ばれる“種の違い”についてお話ししたいと思います。

「固定種がいい」「F1はよくない」など、いろんな意見を耳にしますが、そもそもそれぞれがどんなものなのか――。まずはその意味を整理していきましょう。


固定種とは?

固定種とは、植物が本来持っている性質を何世代にもわたって受け継いだ種のことをいいます。人が遺伝子をいじったり、異なる品種を掛け合わせて新しい性質を作ったりしたものではなく、“形質(性質)が固定された種”という意味です。

たとえばトマトで言うと、スーパーで売っているような大きなトマトから種を取って畑に植えたとします。翌年その種から育ったトマトも同じように大きな実をつける。さらにその種を取って植えても、同じように大きなトマトができる――。

こうして親と同じ性質を繰り返し再現できるものが、固定種と呼ばれます。


有性生殖と無性生殖の違い

植物の増え方には大きく分けて2つあります。

  • 有性生殖:オスとメス、つまり“性”のある増え方。両親の遺伝子を半分ずつ受け継いで子どもができます。
  • 無性生殖:親と全く同じ遺伝子を持つ“クローン”のような増え方。

たとえばジャガイモを半分に切って土に植えると、その切片から新しいジャガイモが育ちますよね。これは親と同じ遺伝子を持つ「無性生殖」です。

固定種の場合は、有性生殖で増えるけれども、性質が安定している=固定されているという点が特徴です。


在来種とは?

「在来種」は、特定の土地で長い間育てられてきた品種のことを指します。気候や風土に合わせて自然に淘汰・選抜されてきた種ともいえます。

明治以前(江戸時代やそれ以前)からその土地にある品種が「在来種」と呼ばれることが多いです。

反対に、明治以降に海外から導入されたもの(セロリやブロッコリーなど)は「外来種」に分類されます。

つまり、

  • 固定種:性質が安定している
  • 在来種:昔からその土地にある

という違いがあります。「在来種の固定種」や「固定種だけど在来種ではない」など、両方の要素を持つものもあります。


F1(エフワン)とは?

「F1」とは “First Filial Generation” の略で、日本語では「雑種第一代」といいます。つまり、異なる2つの品種を掛け合わせて生まれた“最初の世代”のことです。

たとえば、

  • おいしいけど病気に弱いトマト
  • 病気に強いけどあまりおいしくないトマト

この2つを掛け合わせると、おいしくて病気に強いトマトができます。これがF1です。

ただし、このF1トマトから種を取って育てると、おいしいけど病気に弱いもの・強いけどおいしくないものなど、性質がバラバラに出てきます。つまり、次の世代で性質が安定しないため、F1は固定種ではありません。


F1から固定種になることもある?

実は、F1からでも何世代も選抜を繰り返していくことで、やがて性質が安定し「固定種」になることもあります。ただ、これは時間も手間もかかるため、プロの農家では基本的に種苗会社に任せるのが一般的です。


F1=悪ではない

よく「F1はよくない」と言われることがありますが、必ずしもそうではありません。確かに、雄性不稔(ゆうせいふねん)という性質(花粉が機能しない)を利用するなど、特殊な技術もあります。しかし、それは“自然の仕組みを応用”しているだけで、必ずしも遺伝子組み換えではありません。


植物はもともと遺伝子を取り込みながら進化している

たとえば最近の研究では、広島大学のチームが「サツマイモは昔、病原菌の遺伝子を取り込んだ」という発見をしています。

そのおかげでサツマイモは痩せた土地でもよく育ち、土中の有用微生物を引き寄せる力を持つようになったとか。

つまり、植物自身も昔から“遺伝子組み換え”のようなことを自然に行ってきたということです。植物の進化の知恵には、私たち人間も驚かされますよね。


まとめ:固定種・在来種・F1の違い

区分 意味 特徴
固定種 性質が安定して受け継がれる品種 種を採っても親と同じ性質が出る
在来種 昔からその土地にある品種 風土に合っており、地域固有の特徴を持つ
F1 異なる品種を掛け合わせた一代目 性質が強く、作りやすいが次世代は不安定

おわりに

固定種だから良い、F1だから悪い――そういう単純な話ではありません。F1のおかげで今、私たちは安定しておいしい野菜を食べられていますし、一方で固定種や在来種が持つ多様性は、未来の農業にとってとても大切な財産です。

それぞれの特徴を知って、うまく使い分けること。それが、これからの農と食を考える上で大切なことなんじゃないかなと思っています。

今日のまとめ
・固定種=性質が安定している
・在来種=昔からその土地にある
・F1=掛け合わせの第一世代

どれも自然の恵みと人の知恵がつくり出した「命のリレー」です。

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